キャッシュフロー表のすすめ 3

 今回からは収入と支出の項目のうち想定が必ずしも容易ではないものについて、見積りの方法を記していきます。

1.教育費

 教育費については、文部科学省の調査(2021年)などがあり、公立、私立それぞれについて在学期間中の給食費、学外活動費を含む教育費が掲載されています。これによると、公立では幼稚園(3年間)47.3万円、小学校211.2万円、中学校161.6万円、高等学校154.3万円、大学(4年制、入学費を含む)481.2万円とされ、私立では幼稚園(同)92.5万円、小学校1,000.0万円、中学校430.4万円、高等学校315.6万円、大学(同)が文系689.8万円、理系821.6万円とされています。大学が自宅通学でない場合は別に421.9万円かかります。このほかに、通学費、学習塾の費用などが必要になりますが、これらの数字を教育費の目安として使うとよいでしょう。

2.健康保険料、介護保険料

 次に健康保険料や年金保険料などの社会保険料の見積りを行います。毎月受取っている給料は税金や社会保険料が天引き控除された手取額が収入額としてまず意味を持ち、控除前の総支給額はあまり意識されないかもしれませんが、将来見積りを大きく外さないためには、総支給額と控除される税金、社会保険料とをそれぞれ計算し把握しておくことが必要になります。保険や年金は職業により制度が異なり計算の方法も違いますが、ここでは給与を収入源とする給与所得者を例にとって説明します。なお、詳細にわたる制度の紹介が目的ではないため、典型的なケースを取り上げて、将来収支の見積りに十分な範囲で進めていきます。

 健康保険(ここでは企業等の給与所得者が加入する健康保険組合と全国健康保険協会(協会けんぽ)を指します)の保険料は、「標準報酬月額×保険料率」で示され、これを事業者と給与所得者(被用者)が折半して負担します。

 標準報酬月額とは、給与等の報酬の月額を区切りのよい幅で区分した金額です。例えば、報酬月額が35万円以上37万円未満のときの標準報酬月額は360,000円になります。標準報酬月額の決定に用いる報酬は、労働の対価として支給されるものすべて(時間外給与、家族手当、通勤手当などの各種手当等)を含みます。ただし、年3回以下支給の賞与は含まれません。4~6月の標準報酬月額の平均値が向こう1年間(9月~翌年8月)適用されます。

 保険料率は、40~64歳(介護保険第2号被保険者)が11.90%、それ以外は10.31%となっています(福岡県、以下同)。この料率は介護保険料を含みます。

 年3回以下支給の賞与は保険料に反映されないかというとそうではなく、標準賞与額に上記と同じ保険料率(介護保険料を含む)を掛けて算出します。標準賞与額とは、年間賞与総額から千円未満を切り捨てた金額です。

 将来見積りのためには、以上を要約し、年間保険料=(標準報酬月額×12+標準賞与額)×保険料率×1/2 として計算すれば十分でしょう。

 なお、保険料には上限があり、標準報酬月額139万円に先ほどの保険料率を掛けた165,410円(11.90%)、143,309円(10.31%)が最高額(折半前の全額)で、これ以上報酬が上がっても保険料は変わりません。標準賞与額は年間573万円が上限とされ、賞与にかかる年間保険料の上限は681,870円(11.90%)、590,763円(10.31%)となります。こちらも折半前の金額ですから、収支計算に使う数字はこの1/2であることに注意してください。

3.年金保険料

 年金保険(ここでは企業等の給与所得者が加入する厚生年金保険)の保険料も、「標準報酬月額×保険料率」で示され、これを事業者と給与所得者(被用者)が折半して負担します。

 保険料率は、18.30%となっています(福岡県、以下同)。賞与の取扱いも健康保険と同じです。ただし、標準賞与額は、健康保険では年間の賞与合計から決まるのに対し、年金保険では賞与の支給があった各月の賞与額が基準になります。

 年間保険料=(標準報酬月額×12+標準賞与額の年間合計)×保険料率×1/2 として計算すればよいでしょう。

 なお、年金保険料にも上限があり、標準報酬月額65万円に保険料率18.30%を掛けた118,950円が最高額(折半前の全額)で、これ以上報酬が上がっても保険料は変わりません(この上限は今後順次引き上げられ、2029年9月には標準報酬月額75万円が上限になります)。標準賞与額の上限は賞与支給月ごとの賞与額について150万円、保険料274,500円(これも折半前の全額なので注意)となります。また、標準報酬月額88,000円までは同一区分(健康保険では4つの等級に区分)とされ、保険料は一律16,104円(折半前の全額)となります。

 以上から将来の教育費や社会保険料を見積り、キャッシュフロー表に書き込んでいきます。次回は給与所得者の退職後の健康保険料について見てみようと思います。