キャッシュフロー表のすすめ 4

今回は65歳以降の健康保険料について、話していきます。
前回お断りしたように、給与所得者が満65歳になった時に退職し、その後は年金のみを収入源とするケースをモデルに説明を進めます。

月末退職の場合翌月から健康保険の被保険者の資格を失い、①2年間だけ在職時の健康保険の組合員に準じた資格が延長される任意被保険者、②国民健康保険に加入、③家族の健康保険の被扶養者となる、のうちから選択します。

①は「退職時の標準報酬月額」と「加入していた健康保険組合の全被保険者の平均の標準報酬月額」の低い方に保険料率を掛けた金額になります。後で出てきますが、65歳以降は介護保険料を健康保険料とは別に市町村に支払うので、保険料率は介護を含まない低い方の料率になります。ただし、退職後は労使折半ではなくなり全額を被保険者が支払うので、前回の計算式の末尾の「×1/2」はなくなります。退職時の収入レベルによって保険料は違ってきますが、キャッシュフロー表作成時の試算では、おおまかに退職時の保険料の2倍(ただし保険料率は介護分だけ減少)と考えておけば問題ないでしょう。

②の国民健康保険(国保)の料金は、「国保加入者用医療」「後期高齢者医療制度」「介護事業」の3つの医療制度のために必要な費用を、「所得割」「均等割」「平等割」の3種類の方法に区分して計算した金額の合計額となります。細かい計算は省きますが、所得割は合計所得の12.05%(9.24%)、均等割は世帯人数×40,700円(30,314円)、平等割は1世帯につき36,532円(28,620円)で、これらの合計額が年間の保険料となります。ここで、合計所得とは分離課税を含む各所得の合計で、所得控除をする前の額になります。収入が公的年金だけの場合は、年金収入から公的年金等控除額を差引いたものが合計所得になります。配偶者との2人世帯で合計の年金収入が300万円の場合の合計所得は、公的年金等控除額110万円を差引いて、300ー110=190万円になります。夫婦がともに65~74歳の場合の国民健康保険の年間保険料は、
  所得割  (190万円-43万円)×9.24%135,828円 (43万円は所得割の基礎控除額です。)
  均等割  30,314円×2人=60,628円
  平等割  28,620円
ですからこれらの合計額である225,000円(100円未満切捨)となります。なお、配偶者が65歳未満(40歳以上)の場合は介護事業分を含めた金額になりますから、年間保険料は少し高くなります。この例では、均等割の一部と平等割が介護事業を含んだ金額になり、合計額は243,300円となります(配偶者とも公的年金以外の収入はないものとします)。

また、一定の所得レベル以下の場合には保険料が減額されます。福岡市の場合、均等割と平等割の減額制度があり、減額率は合計所得が155万円(年金収入265万円)以下で2割、104万円(同214万円)以下で5割、43万円(同153万円)以下で7割となっています(いずれも2人世帯、年金以外の収入がないケース)。

ここにあげた保険料等の数字は、福岡市の2025年度を使用しています。実は、国民健康保険は市町村及び特別区ごとに運営されているため、保険料率が自治体ごとに設定されています。均等割、平等割の有無に違いがある場合もあります。福岡市の保険料率等は平均値からの乖離が大きいわけではないので、この数字を使っても生涯キャッシュフローの試算には大きな影響が出ることはないでしょう。とはいっても、ご自身の居住自治体の保険料率等を一度確認しておくことをお勧めします。

最後に、国民健康保険料にも納付限度額が設けられていて、年間最大109万円となっています。

国民健康保険料の説明が少し長くなってしまったのでこのへんにして、次回は65歳以上の介護保険料から話を進めていきます。