キャッシュフロー表のすすめ 6

 今回からは、税金の見積り方法を解説します。
 先にもお話ししましたが、先々の収支を見積もるうえでは、税金額の見積もりを欠かすことができません。
 なぜなら、一般に公表され、あるいは従業員や採用希望者に示される年収は、税金や社会保険料を差引く前の金額であり、差引かれる税金がいったいいくらになるのか見通しをはっきりさせておかなければ、肝心の収入額が把握できないからです。

 所得税の計算過程は次のようになります。
 (1) 各所得項目の所得額の算定
 (2) 課税所得金額(税額控除前)の算定
 (3) 課税所得金額(税額控除後)の算定
 (4) 所得税額の算定

 この(1)~(4)は、各所得項目の所得額を足し合わせた額に税率(所得が多いほど高くなる累進税率)を掛けて税額を算出する総合課税の税金の計算方法です。
 これとは別に、項目ごとの所得額に別に定められた税率を掛けて税額を算定する分離課税の税金がありますが、回を改めて解説します。
 所得税の所得計算を基礎に地方自治体が徴収する住民税(都道府県民税、市町村民税)についても、回を改めて触れたいと思います。

(1) 各所得項目の所得額の算定
 所得項目のうち、給与所得者にもっとも 関りが深いのは、給与所得と雑所得です。雑所得は公的年金収入による所得が計算される所得項目です。退職所得も多くの人に関わりがありますが、こちらは分離課税のところでお話しします。

 各所得項目の所得はどれも「所得=収入額-必要経費」で計算されます。
 給与所得の必要経費にあたるのは「給与所得控除」といい、収入金額のランク別に算定式が示されています。

 給与収入190万円までの給与所得控除は、一律65万円とされています。
 層が厚いと思われる給与収入総額360万以上660万未満のランクを例にとると、給与所得控除額は、収入金額×20%+44万 ですから、給与収入500万円の人の給与所得控除は式にあてはめて144万円、給与所得は差引356万円となります。所得金額を速算するため、給与収入から給与所得を求める式に組替えて、給与所得=収入金額×80%-44万 として速算できるようにしておけばよいでしょう。

 年金収入は、雑所得に含まれ、日本年金機構が所管する厚生年金や国民年金等だけではなく、企業等が独自に設けている企業年金等もここに含まれます。
 この年金収入も「公的年金等控除」として収入額から控除できる必要経費相当額が年金額のランク別に決められています。
 公的年金等控除は、年金額330万円未満では65歳以上と65歳未満とで控除額が異なっています。また、65歳以上で年金額330万円未満の場合一律110万円、65歳未満では年金額130万円未満の場合一律60万円となっています(所得が公的年金のみまたは公的年金以外の所得が1,000万円以下のケース。以下同じ)。
 年金収入が350万円の場合を例にとると、公的年金等控除額は、年金額×25%+27万5,000円 なので115万円、公的年金等の雑所得は235万円となります。ここでも、給与所得と同じように、速算式、公的年金等の雑所得=公的年金収入×75%-275,000 のように速算できるようにしておくとよいでしょう。